2015年04月26日

首相官邸ドローン事件の逮捕は妥当だったのか

先日、首相官邸にドローン(小型ヘリコプター)が墜落し、話題になっています。

飛ばした方が、威力業務妨害罪の疑いで逮捕されました。しかし、この逮捕は妥当であったか、疑問が残ります。

供述によると、逮捕された方はこちらのブログの「官邸サンタ」さんです。
原発近隣の小浜市在住で、原発再稼働に反対しており、12日に行われた福井県知事選を混乱させる意図で飛ばしたとのことです。

動機は十分に理解できるものの、選挙妨害の目的は、確かに、あまり歓迎されるものではないでしょう。
しかし、逮捕となると、「望ましくない」「騒ぎを起こした」程度の理由づけでは足りず、十分な根拠が求められます。

直接に問題とされるべきは選挙妨害です。
しかし、公職選挙法225条(選挙の自由妨害罪)も、公職選挙法229条(選挙事務関係者、施設等に対する暴行罪、騒擾(そうじょう)罪)も、適用ははなから問題外です。福井にいる投票者や候補者の自由を、東京に落としたドローンで妨害することはできません。
そもそも、ドローンが見つかったのは、選挙後のわけで、どう足掻いても未遂でしかありません。なお、225条も229条も未遂は処罰されません。

おそらく、それで、業務妨害罪ということになったのでしょうが、妨害された業務とは一体なんだったんでしょうか。
首相官邸は、屋上にドローンが落ちていたら機能が止まってしまうほど、ヤワなのでしょうか。妨害されたのは、業務ではなく、官邸のメンツではないでしょうか?
この点、直接の業務支障は必要ないという考え方に則ればいいのでしょうが、適用が無限定になり、かなり危険な考え方だと思います。
いずれにせよ、警察検察にとって、起訴はかなりギャンブルになるでしょうし、起訴猶予という形で落着するような気がしてなりません。

業務妨害罪の罪名の濫用については、昔起こった、京都大学のカンニング事件の時に書きましたので、重ねて書きませんが、このような捜査慣行はいい加減にやめるべきでしょう。
1995年の地下鉄サリン事件の時、別件逮捕の批判を浴びる覚悟で捜査し、大事件だからとマスコミや国民もそれを黙認していたことが、杜撰な理由づけでの捜査が頻発するようになった端緒だったと記憶しています。今年で奇しくもちょうど20年になります。
20年もこのような捜査手法が続いていれば、国民もヘンとは思わなくなるでしょう。この記事読まれた方の大半が、この記事の内容こそがヘンではないかと思っているのではないでしょうか。だからこそ危ないのです。

最後に一言余計なことを。飛ばした方は、去年退職したとブログに綴られています。この方だけに関わらず、Twitterなどで脱原発の方々のツイートを拝見していると、退職という言葉が散見されます。脱原発への流れが一向に進まない中、焦りもあるし、ストレスもかかるでしょうが、ご無理のないようお願い申し上げます。

posted by 堤朋之 at 08:23 | Comment(0) | 社会
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